百合染野図書館

小説(?)を書いています 異能力の使い方

異能力の使い方 ー1話 不幸中の幸いー

この小説はフィクションです

 

「君はこの村を救える勇者だ!」
といきなり言われたら誰でもピンとこないだろう。
まず、勇者の定義とは一体何なのか。
特殊な力を持っているからなのか、見た目が強そうだからなのか。脳の作りが特別なのか。

私は疑問でいっぱいだった。。
第一の問題で私は男ではない。女子高生だ。空手や柔道・剣道とかもやったことがない女子高生だ。そんな私が勇者になる権利があるのか。

それに、私が住んでいるのは村ではなく町だ。約8万人が住んでいる田舎なのかの判別が難しい人口だ。
そして最大の疑問はこの世界にはモンスターも悪魔も宇宙人もいない。
いるのは悪いことを考える人ぐらいだ。
この3年間の高校生活は常識が覆される日々だった。え?なんでそう感じるかって?まず、私が不思議な能力に目覚めたことだ。それによって町にいる悪人と戦う(?)きっかけになったのだ。この世界は不条理で醜いものだと知った3年だった。…たぶん


高校一年生の5月のGW(ゴールデンウィーク)明け。今日もぼっちで登校。ぼっちで昼休憩。ぼっちでトイレ、…は言わなくてよかったかな。
私は好きでぼっちになっている訳じゃない。他人からはただの言い訳に聞こえるだろうが…。
私は高校生活を楽しむ気持ちを上回るものがあった。それは不運の連鎖によって生み出されたこの世界の孤独感と恐怖感だ。

入学式・始業式があった週の日曜日。私の平和は消されてしまった。
家族で遊園地に行ったとき。私の家族構成は、父・母・中学1年生の弟、そして私。遊園地は私と弟がはしゃいで遊んだ。両親もその様子を見て喜んでいた。幸せだった。
その帰り道。車の中で私と弟は寝ていた。目が覚めた時からが地獄だった。衝突事故に会ったのだ。…生きていたのは私だけだった。
私の祖父母は、私が生まれたときにはもう他界していたため私は一戸建ての家に留まった。

 

そこから悪夢が始まった。

 

1週間後、ストーカーにつけられた。
そのまた1週間後、空き巣にやられた。金庫を盗まれた。空き巣狙いは私をつけていたストーカーだった。金庫は戻ってきたがその中にあったお金は殆どなくなっていた。親の通帳は「0」と記されているだけだった。

その後も週一回のペースで災いがふりかかった。それがなぜか私にとって楽しみになっていたのかもしれない。いや、なっちゃだめだけど。

 

今日もぼっちで下校。下駄箱から靴を出して外を見た。
…豪雨だ。きいてないぞ。
梅雨でも台風でもないのに。5月ってこんなに雨が降る月だったのかと疑問を抱きながら傘なしで歩いていた。
途中、最近見つけた近道を使った。電灯やひと気がない代わりに時間短縮できる。早く家に帰りたい気持ちが大きかった。
近道を歩いていると後方から轟音、ではなく爆音が聞こえた。バイクの音だ。
この近道にバイクが通るのは珍しい光景だ。しかもこんな豪雨の中で…と思っていたその時!
バイクが私の横を通り過ぎようとした瞬間に搭乗者が私の学生鞄をひったくった。
私はすぐさま大声で誰かに助けを呼んだ。しかし、誰も反応しない。それどころか近くに誰もいない。この近道の特徴であるひと気がないのが仇となった。第二の手段として携帯で…あれ?あ、そうだった。あの鞄の中に入れていたことを思い出した。
今週の不幸はひったくりか…。

 

ひったくられて5分が過ぎた。私はもう歩く気力がなくなり、その場で仁王立ちしていた。
悟っていた。私がこの世の中に生まれてよかったのか、生きる意味は何なのか。自然主義を科学的にない病気にでもなっているのか。自然主義を信じたい気持ちだった。

「おーい、君!」
後ろから男性の大声が聞こえた。振り返ると確かに男性だ。少しチャラそうだった。髪色が茶色だし…。そのチャラそうな男性が私に近づいてきた。
「こんな暗い道にJK(女子高生)一人で歩くなんて危険だろう。しかも傘差さずに。私のスケスケ性服(制服)を見てくださいと言わんばかりじゃないか。この道は暗いときは変な奴のたまり場になっているから、狙われるぞ。」
そのJKに対して躊躇せずにセクハラ発言とは危険な人だな…。知らないふりして帰ろうかな。
「すまんな、説教みたいになって。折り畳み傘貸してやるよ。使いな。」
…え?少し動揺した。
「…いや、別にいいです」
「風邪ひいちまうからさっさと使え。またはそのいやらしく状態の身体を町の人たちに見てもらうプレイが好きなのか?」
優しいのかセクハラしたいのかどっちなのか。と思っていながらも彼か折り畳み傘を借りた。
「そうだ、もう少しで鞄が戻ってくるから。」
「…え?今…なんて…?」
「だから、君のもとに鞄が戻ってくるから」
いや、待て待て。なんで鞄を盗られたことを知っているの?それに鞄が戻ってくる?
私は彼の理解不能な情報によって混乱していた。だが、それだけじゃなかった。
「高津・沖波、今、ひったくり被害にあったJKを見つけた。バイク野郎は今、田中不動産を西に通過。およそ時速62キロ。え?およそはいらない?」
誰かと会話しているようだった。
でも、おかしなことに彼の手には傘しか持っておらず、携帯電話を使っているようには見えない。トランシーバーを使っているようにも見えないし、オペレーターが使うマイクも使っていない。会話するための媒体を持っていないのにどうやって会話しているのか。
それに、その話の内容もおかしい。何故バイクの位置と速度を把握しているのか。
「とりあえず、この道から出よう。仲間と合流する」
私は彼と一緒に道を出ることにした。
何故か私は不安が減っていた。

 

彼と危険な近道を出た。
彼は、彼の仲間と合流する集合場所に行く間に私と話しつつ、時折仲間と会話していた。先ほどの疑問を抱きつつも結局は聞かなかった。ただ、一つ聞きたいことは聞いた。
「あなたは警察ですか?」
会ってからずっと思っていたことだ。
「警察じゃないよ。単に困っている人がいたら助けているだけだよ」
「ボランティア…ですか?」
「そんな感じかな。それに、仮に警察だったらタメ口で話さないだろう?…うん?どうした高津。…そろそろ来る?了解」
…来る?
数秒後、聞き覚えのある爆音が聞こえた。ひったくりをしたバイク男がこちらに向かって来る。
本当に来た。
バイクはよれよれの走行で、ただ乗っているだけのはずの搭乗者が疲れ果てていた。
が、それでもバイクで逃げている。
それともう一つ気になるものが見えていた。
都会のビルに負けないぐらいの高さの純白でできた塔。あれって今まであった…かな?
と、疑問を持っていたその時、バイク男がこちらに突っ込もうとして来ていた。
「邪魔だ!どきやがれ!」
「君、下がっていて」
「下がっていてって、下がってもどうしようもないんじゃ…」
「いいから!下がれっつってんだよ!俺が止めるから!」
本当にこの人は何を言っているのか。止めるってどうやって。
バイクのスピードは緩まない。そのまま私たちに向かっている。その距離、大体10メートル。
それでもまだ緩めない。
私は目を瞑った。こんなの現実じゃないはず。
「うわぁー!!」
男の悲鳴が聞こえた。バイクの爆音が消えていた。男がバイクから落とされたような音がした。
目を開けた。搭乗者が道路に横たわっていた。
ただ、一つ見えなかったものがあった。
バイクがどこにも見当たらない。
その代わりなのか、水が雨とは思えないほど道路にたまっていた。
「な、何なんだよ!さっきから!逃げようと思った道に壁が現れで邪魔してきたり!どう逃げても壁に当たるし!挙句の果てにバイクがいきなり水になったり!」
水になる!?それが本当ならこの道路に水が溜まっているのが理解できる。でもそんなことって在り得るのか!?
「あぶねえがねぇ。こんなところでそんなスピード出すなんてぇ」
電柱の陰から聞いたことのないなまりで話している女性が出てきた。しかも、ショートヘアーでオールバック。さらには右目を包帯で覆っている。またおかしな人が来た。
「沖波、なんでそこで隠れていたんだよ」
「いい感じに待ち伏せ成功。なおかつ良いとこ取りだわ!悪く思わんでよ、喜多川。」
(わ)のイントネーションがおかしい…少し低い…一般女性が使う(わ)のイントネーションじゃない。
しかし、彼の仲間ということが分かった。悪い人じゃない。
「ふざけんなよ!いい感じにセリフが決まったのに!」
「まあ、ええがな。こいつを捕まえたことだし…」
そういいながら二人がバイク男を穏やかならぬ目つきで見ていた。
さっきまでの優しい雰囲気が消えていた。


「てめえなんでこいつの鞄パチったんだ?あん!?」
「おめぇを捕まえることはしねぇが、鞄を返さないとおめぇのバイクも返さんからなぁ。はよ返しゃあええ話だ。分かる?分かるよなあ?」
私と話している時とは180度違っていた。
「わかった、返す!鞄返すからバイク返して!」
「そうか。なら先に鞄を彼女に返しな。」
バイク男は私に鞄を返した。
本当に帰ってきた。
「確かに返した。だからバイクを返してくれよ!」
「わかったわかった。ちょう待ち」
なまりがおかしい女性がそういった後、道路の水を見つめていた。
すると、水がみるみるとバイクの形になってゆく。
「なにこれ、本当に現実?」
口に出してしまうほどだった
約10秒でバイクは液体から固体に戻った。
バイク男は怯えながらエンジンをかけて、その場を去った。

 

「ありがとうございます。助かりました」
「いいってことよ。」
「大したことじゃないから気にせんでええよ」
この二人、何か変なところがあるけどいい人で良かった。
…あれ、でもこのチャラそうな男が会話していたのってこのなまりが変な女性ともう一人いたような。
「陰で統括や追尾していたのにもかかわらず、僕には利益や御恩は無しですか…。」
もう一人の仲間らしき人が現れた。
この人も何かおかしい。白髪(はくはつ)で右耳に長いイヤリングをつけている。
「わりい。問題解決したからつい。」
「そういうつもりじゃなかったから、許してちょ」
「まあいいや。とりあえず一件落着だな」
なんか、この3人のなかで一番まともな気がする人だった。見た目は全員アレな気もするが。
「あの、陰で統括って…何のことですか。」
「うーん…いったほうがいいのかな?」
「高津、こいつ沖波のやつ見ていたから、別にいいんじゃないか」
「なら、いいか。」
そういいながら右手を前に出した。すると、手から何やら1センチぐらいの白い四面体が次から次と出て空中に舞っている。
見覚えがある白色だった。
「この四面体(キューブ)を使って塔を作って、そこから見下ろしてバイクの場所をこいつらに教えていたんだ。」
だから不自然な高層ビルがあったのか。再びその塔を見ようとしたら、もうそこには塔はなかった。

気が付けば雨もなくなっていた。心も少しばかりか晴れていた。
「ありがとうございます。鞄を取り戻してくれて。なんとお礼したらいいのか…」
「だから気にせんでええよ。」
「早く家に帰って下着替えなよ。濡れ濡れだから」
このセクハラ発言している男性だけ、前言撤回だなぁ。傘貸してくれたのはうれしかったけど…
「そうだ、今日のことだけど」
真面目そうな人が私に話しかけた。
「今日ここで起こったことは誰にも言わないでくれ」
「…はい」
ありきたりのセリフではあるが、ごもっともだ。ほかの人に伝えたって信じてもらえないことだろう。てか、話す相手がいないけどね。

 

 

たぶん続く

 

 

あとがき的なもの

初めまして、百合染野(ゆりぞめや)です。

大学1年生です。理系です。国語が大嫌いです。文章苦手です。

と、言いつつも実は小説書こうと思っていたのは高校1年生の時からです。

ただ、部活が多忙だったため書く暇がなくて断念。そもそも話の構成を全く考えてなかったのです。

そんな高校生活をしつつも話を考えていた3年間。そして今。書こうと思いました。

 

先ほども申したように国語が大嫌いです。漢字とか、日本語の間違いがありましたらご指摘をお願いします。あとご感想も(合ってるはずだよね。この日本語)