百合染野図書館

小説(?)を書いています 異能力の使い方

異能力の使い方 ー4話  変える力-

アライグマの危険性を承知の上で3人は細い道に入った。
もしかして、あの謎の力を使って駆除するのだろうか。いや、だとしてもどうやるのか。
一人は四面体(キューブ)を使って造形する。
一人は見ているものを水にさせる。
一人は音を操り、かき分ける。
その3つの謎の力でどうにかなるのか。

しかし、その疑問もすぐになくなった。
道に入ってから2分後、彼らが戻ってきた。真面目そうな男の腕には、猫が入っている段ボールがあった。
3人はただ
「駆除はできませんでした。ただ、追い払うことはできました。」
と、言っただけだった。
「それは、いったいどうやって」
「本来危険ではありますが、餌付け作戦で近くにある穴へ誘導しました。」
たぶん、嘘をついていると思う。でも、本当はどうやって止めたのかは私もわからない。
「餌付けで大丈夫って、本当かな?」
伊達ちゃんも疑問に思っていたらしい。なんとなくそうだねって頷いたけど。

とにもかくにも、少女のハンカチは無事取り戻せた。が、段ボールの中に入っていた猫たちの5匹中3匹はアライグマに食べられてしまった。ハンカチにも猫の血が付いていた。
ハンカチは係員がきれいに洗い、私たちに渡された。猫たちは係員によって動物愛護センターに運ばれていった。私たちは係員にお礼を言った後、そのハンカチをコロッケ屋のおじさんに渡した。きっとあのハンカチを無くして泣いていた少女は戻ってきてうれしがるだろう。
でも、裏では…。いや、これは伝えないほうがいいだろう。ていうかまず、あの少女と次いつ会うか分からないから考えるだけ無駄かもしれない。というのは無責任かもしれないなぁ。

そういえばあの3人はどこに行ったのだろう。神出鬼没というのはまさにこの事なのかな。

「じゃあ私はもう帰るよ。桃内ちゃん、また明日ね。」
「うん、また明日。」
さて、バイトがあるから急いでいかないと。とはいえこの時間だとバイトは1時間ぐらいしかできないと思うけど。
私は急ぎ歩きで家に向かった。走るための体力がない。1時間だけのバイトは短いけど大丈夫なのか。その辺は気合で何とかできるかな。なら、今走るべきだと思う。

結果、バイトは1時間しかできなかった。大切な収入源が…。今月は金欠だな。


次の日
下校中に伊達ちゃんと昨日の出来事を話していた。
「そういえば、今日の朝刊であの猫2匹の引き取り先探し中って載っていたよ。」
「そうなんだ、引き取り先見つかるといいね。ていうか伊達ちゃんって毎朝新聞読んでいるんだ。すごいなあ。」
「そう?小学生の時から週勘付いていたから読まない日のほうが違和感を持つんだよね。」
本当に天才的な高校生だな。生徒の鑑だな。
私は平凡だな。一般的の女子高生かな。たぶん。
「それで、今朝登校したときにあの小学生がコロッケ屋のおじさんのところに訪れていたよ。」
「あの小学生もハンカチが戻ってきてうれしがっていると思うね。」
「うん、だけどさ。私もハンカチをどこかに無くしちゃったの。」
まさかの天才でも無くしてしまう時も時もあるのか。天才だとしてもやはり人間。だからミスもあるし忘れてしまう。それは仕方ないよね。誰もがやってしまうからね。
「ものの管理って本当に気を付けないといけないとね。」
「そうだね。私も気を付けないと。」
「でも、桃内ちゃんなら魔法とかでハンカチ作成とかできるんじゃない?」
「私、魔法も裁縫できないからね。」
「いけるよ!努力すれば!」
「私は伊達ちゃんみたいな天才的な脳じゃないよ。」
「私も天才じゃないよ。努力でどうにかしているだけだよ。だから、出来るよ!魔法も裁縫も!」
「無茶言わないでよ!」
いつの間にかただの他愛もない会話になっていた。

キィィィィィィィ!!

どこかで聞いたような苦しい鳴き声が聞こえた。私たちはぞくっとした。
向こうから小学生が来た。
「お姉ちゃんたち、怖い、怖いよ…。」
昨日ハンカチを無くしていた少女だ。彼女の目には涙があった。ハンカチは戻ってきているのに。
「狸がね…猫ちゃんたちを…食べているの……」
「たぬき?まさか…!」
口にしなかったが私たち二人はこの子が見たことを察した。
狸ではなく、アライグマが猫を食べているのだ。先ほど聞いた痛々しい鳴き声は、襲われている猫の鳴き声だ。問題は猫たちが何故また捨てられているのか。
「なんで、今まで動物が捨てられることがなかった街だったのに…。」
ここの市民である伊達ちゃんも変だと感じていた。私はこの町の市民ではないが、連日動物が捨てられているのがおかしいのは思っていた。
近くの住民も家から出てきてこの場から離れた。
「早く逃げなよ!私たちじゃ何もできない!」
「アライグマが町に20匹ぐらい出たらしい!危険だ!」
「どうなっているんだ!?御陵市は平和と安全がモットーの街じゃないのか!?」
「駆除団体が来るまで襲われないように逃げないと!」
大の大人も逃げていた。私たちも逃げようと考えた。
「とりあえず、この場から離れよう。」
「猫ちゃんはどうするの!?助けないの!?」
「助けたいけどアライグマは人間にとって危ないの。だから近付いちゃダメ。」
「アライグマって人懐っこいから優しい動物じゃないの?」
「それだったら猫を食べないよ。」
「猫とアライグマって仲良くなれないの?」
「さあ、私たちは何もできない。」
「どうにかしてよ!お姉ちゃん!」
少女の無垢で無知な考えが正しいとも感じる。社会的には間違いだが、彼女は動物を大切にしている。それは、私たち高校生や大人たちと違っていたやさしさだ。どこかで忘れていた他の動物の生命を思っていた少女だった。

でも、私たちには何もできない。
昨日はあの3人が来たから何とかなったが、今日はいない。
駆除団体もまだ来ていないようだ。

気のせいか風が強くなっている。

グルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
どこからか、先ほどとは違う少し高くて震えるような鳴き声だ。それに苦しんでいる鳴き声ではなく、何故か喜んでいるような鳴き声だった。
数秒後、近隣の木からガサガサと音が聞こえ、鳴き声も同時に聞こえた。
そこに目線を向けるとアライグマが2匹、木の上から私たちを見ていた。まるで私たちをターゲットにしていた。
アライグマの鳴き声は大きくなっていた。
少女の泣き声も大きくなっていった。

アライグマは人を全く怖がらない。昔、人はアライグマを怖がらなかった。今、人はアライグマを怖がるようになった。

アライグマはこちらをにらんでいる。
私たちは怯えている。

どうすればいい。逃げたら逃げたで襲われそうだし、でも逃げないといつ襲われるのかわからないし。
「どうしよう。とりあえずゆっくり逃げて行こうか。」
動揺しつつも冷静に対処する伊達ちゃんがすごい。
アライグマはこちらをまだ見つめている。

アライグマはうなっている。
アライグマは私たちを狙っている。
アライグマは…私たちに向かって飛びついてきた!?

どうすればいいの!?あの3人もいないのに!駆除団体もいないのにどうすれば!
…怖い。何もできないから怖い。
私たちは怯えていた。私たちはアライグマに目を背けていた

どうにかしたい!心の中が何かに目覚めていた。
私は目を開いた。何もできない自分だけどどうにかしたい!


私は魔女になった。


私が手を大きく開くと先ほどまで吹いていた風が、私たちを囲み疾風となった。
襲ってきたアライグマたちを疾風で振り払った。
アライグマは疾風によって壁に叩きつけられた。
死んだのかはたまた気絶したとかはわからないが、アライグマは1匹も動かない。
伊達ちゃんと小学生はいったい何が起きたか分からず、驚いていた。
私も驚いていた。助けたい気持ちはあったが、いきなり意味不明な能力を使用していたので混乱していた。
あの3人みたいに私も不思議な力を使っていた。

数分後、駆除団体が来た。すぐさま壁の近くに倒れているアライグマたちを処理した。
一人の職員が私たちに話しかけに来た。
「アライグマたちに襲われたりしませんでしたか?」
近くにいた私たちにするのは当然ともいえる質問だ。私と伊達ちゃんは先ほどの出来事をどうやって説明すればいいのやら…。
「あのね。このお姉ちゃんがね。よくわからないけど、風の魔法を使って追い払ってくれたの。」
小学生はやはり気楽に話していた。でも、大人は。
「あはは。そうか魔法か。そういうことにしておくよ。」
小学生の話を信じていなかった。当たり前か。

 

 

たぶん、続く

 

 

あとがき

話の展開って難しい( ゚Д゚)

どうも百合染野(ゆりぞめや)です。

前も書いたように、最初は2話から4話までを1話にまとめようとしたのですが無駄に長くなってしまいました。なんでだろう。

さて、存在感が薄い主人公、桃内真友ちゃんがやっと能力を使えるようになりました。ここからが本番ですね。個人的にはSFであり学園ものという考えです。と言ってもSFをやりすぎてはいけない。なおかつ学園ものを入れすぎてもいけないというのが難しいところですね。

ちなみに今後の話の構成はすごい穴あきですが考えています。いつも穴あきの状態から書いています。書いている途中でいいアイデアを思いついたりして、あ、これ入れたらいいんじゃないか、と書き加えていたりしますね。その結果がまとまらないってことなのかもしれません。反省します。

 

感想、誤植などがありましたらコメントお願いします。

 

 

sno621.hatenablog.jp

異能力の使い方 ー3話  動物と人間-

早速ハンカチ探しを開始することにした。小学生は涙を流すのを止めた。私と伊達ちゃんは時々通行人にこのことを聞いたが、誰も知らなかった。
伊達ちゃん曰く、御陵小学校の通学路は地域の人たちがボランティアで道路掃除をしている。また、街灯の光と光が途切れないぐらいの街灯の設置数のため、小学生どころか市民にも優しい道であるらしい。そのため、落とし物もすぐに見つかる。ボランティアの人たちが警察に届けることがよくある、だって。

 

そう言っていたがハンカチが見つからない。伊達ちゃんが警察に電話したが、ハンカチは無いとの話だ。
落とし物が見つからないのは珍しいことらしい。
ハンカチ探しは続いていく。

 

気が付けば、太陽が地面に潜り込んでいた。通学路の街灯が点灯した。
「だいぶ暗くなったね。ねぇ、暗くなったけどもう少し探してみる?」
伊達ちゃんは小学生に訊いた。小学生は首を縦に動かした。その返答を見た伊達ちゃんはポケットから携帯を出した。
「それなら携帯を貸すから、家の人に帰るのが遅くなることを伝えておいてね。」
小学生は早速携帯を借りて家の人と通話をした。
そういえば私もしないと。バイト遅れることを。
バイト先のスーパーに電話をした。遅れる理由はフィアーネスのハンカチ、ではなく財布を落としたという嘘をついた。悪女だなあ私。魔女じゃなくて。

 

私と小学生は電話を済ませた。3人で再びハンカチ探しを始めた。
必死に探すものの刻々と時間は過ぎていく。
太陽はもう全て沈んでしまっていた。
太陽が沈むと虫や動物たちが騒がしくなってきた。カラス鳴き声が夜なのに大声で聞こえる。何かわからない虫が鳴いている。犬の遠吠えが町中に響く。動物にとっては夜からが活動が本格化するのか。そう思った。
「…猫の鳴き声がする。」
小学生がつぶやいた。
「猫?どこから聞こえたの?」
「…あっち。」
小学生が指差ししたのは、幅が1メートルぐらいの狭い道だった。確かに猫の鳴き声が聞こえる。たぶん子猫4匹ぐらいだろう。
伊達ちゃんは首をかしげていた。
「おっかしいなあ、ここら辺は猫を飼っている民家はなかったはずだけど。」
なんでも知っているなあ伊達ちゃんは。普通なら通学区域すべてのことを知っている人は市長であっても、50年以上住んでいる人であっても把握できないことだと思う。天才脳ってすごい。
私が謎の感銘を受けている間に、小学生はその道に歩いていた。ハンカチ探しは何だったのか。いつの間にか猫探しになっていないかこれ。
私と伊達ちゃんは小学生に着いて行った。
小学生にとっては幅1メートルの道はそう狭くない道だろうけど、私たち2人にとっては狭い。小学生は難なく進んでいく。
「あった!」
小学生は喜んでいた。
遅れて私たち2人もついた。
白い猫が段ボールに5匹入っていた。種類はわからないけど。1匹は親なのか、4匹と比べて大きさが4倍5倍もあった。段ボールの中には猫だけが入っているわけではなかった。缶詰の空や散らかっているキャットフード。そして、探していたフィアーネスのハンカチがあった。まるで毛布のように使っていた。
「あった!ハンカチ!」
小学生は手を伸ばそうとした。
「触ったらダメ!」
そういったのは伊達ちゃんだった。
「え、なんで?」
伊達ちゃんは段ボール箱の下を指さした。マーカーで書いたのだろうか、

「心優しい方、この猫を飼ってあげてください」
という文字があった。
「この猫たちは捨て猫だね。犯人は誰かわからないけど。でも、そういう人って猫の管理や愛がしっかりしていないんだよ。例えば、注射していないとか。家で飼っている猫とか犬とかは注射によって誰にでも安全に触れ合えるけど、注射をしていない場合、人とかに危ない病気とかを写してしまうからね。」
狂犬病のことを小学生にわかりやすく言うとはすごいなあ。そういえば私空気だなあ。何もいいことしていない気が。
「とりあえず動物愛護センターに電話してここに来てもらうことにしよう。こういうことは専門の人が扱ってくれるのが一番いいからね。」
そういって伊達ちゃんは携帯で近くの動物愛護センターを探して電話をした。
それにしても誰がこの猫たちを捨てたのだろう。伊達ちゃんの言ったように管理や愛が足りない人が捨てていったのだろう。動物をどんな目で見ている人だろう。何故ここに捨てたのだろう。拾って欲しいならこんな狭い道に置いていく必要はないだろう。まあ、人が人だったからかもしれない。言い切れることは、猫には罪には一つもない。そして一番苦しんでいるのは猫だ。楽でずるい道を選んだその人が悪い。
「30分後、動物愛護センターから係員が来る、だって。もうかなり遅い時間だから、君はそろそろ帰って。ハンカチはコロッケ屋のおじさんに渡しておくよ。」
「…わかった。ばいばい猫ちゃん。元気でね。」
その言葉を残し、小学生は帰った。私と伊達ちゃんは幅が狭い道から出て係員が目に付きやすいところで待っていた。
「…酷い、よね。心がない人間がいるのって…」
伊達ちゃんも私と同じことを思っていたらしい。
「でも、本当の正解は誰もわからない。動物愛護センターも本当は預かりたくないだろうね。」
知っている人も多いだろう。私もテレビで何回か見たことがある。
動物愛護センター。その正義感がある名前と裏腹に殺処分をしているところだ。愛護=死刑。その等式は絶対おかしい。でも、従業員だってやりたくてやっている汚れ仕事ではない。好きな動物や人を殺すのは誰もがやりたくない。
もしかして、あの猫たちも…。いや、そんなこと思っちゃだめだ。猫たちに罪はない。いや、まず罪がある動物はこの世界の中で人間だけだ。

しばらくして係員がやってきた。
「お待たせしました。電話で話していた猫はどちらにいますか。」
そう尋ねられ、私たちは狭い道に係員を導いた。

「キィィィィィィィ!!」
通っている間に聞いたことのない鳴き声が聞こえた。苦しい感じの声だった。
さっきの猫なのか。いや、猫って苦しいときってそう鳴くのか。私の貧相な脳ではわからなかった。
白い猫が入っている段ボールが見えた。苦しい鳴き声がだんだんと大きくなっていく。
段ボールから白い猫が姿を出した。大きさ的に親猫だろう。
「…伊達ちゃん、私たちが見つけたのって白い猫だよね」
「…うん。そうだよ…。」
「でも、あの猫。」
猫が赤い血で染まっていた。いや、それ以上説明したくないほどの姿だった。
親猫の後ろから猫が出てきた。

!?


いや猫じゃない!?たぬきに似ている!?一体…何!?
「…アライグマだ…」
職員はつぶやいた。
影からさらに何匹かアライグマが出てきた。
「この道から一回でましょう。危険すぎます。」
え?なぜアライグマが危険?そう思いつつ私たちは道から出た。

 

「アライグマはかわいいとかよく言われていますが、実際には悪影響が多数ある侵略的外来種です。人間を全く恐れず、まずなつきもしない動物です。また、猫や犬、鳥などのペットにも被害があります。そして危険なことは洗いアライグマには多くの寄生虫が体内にあり、噛まれたらほぼ100%死にます。申し訳ないのですが、私たち動物保護センターではアライグマの駆除を行っていません。今から駆除団体に連絡します。」
解説を終えた係員は電話を始めた。
そうだったのか。私知らないことばかりだな。アニメとかでかわいいイメージとか持っていたけど、そうではなかったのね。当時はあまりアライグマの生態が分かっていない人が多かったのが原因なのね。
「そういえば、アライグマは冬眠もしないし、日本全国各地にいるっていうのを本で見たことある。」
本当に伊達ちゃんは何でも知っているなあ。アライグマも恐ろしいけど、伊達ちゃんも恐ろしい。
「…思えばあの猫たち。生きているかな。」
「さあ、親が頑張ってかばっていたのかもしれないけど、あの姿だと、子猫たちも…」
「このことは、あの小学生には内緒にしよう。」
「…そうだね。」
「そうそう、かわいい女の子が泣いちゃう姿は見たくないからねえ。」
「だよね…ん?」
「アライグマがJKやJD、JC、JSを泣かせるのは嫌な話だ。スタイル完璧JKとツインテメガネJKにそんなことはさせない!食い止めないと」
「あなた誰ですか!?変質者!?」
勝手に男性が会話に割っていた。それに気づいた伊達ちゃん驚いていた。その男性は眼鏡を付けたチャラい…あれ見たことあるぞ。
「あなたはこの前の!…」
続きを言おうとしたらチャラ男が耳打ちしてきた。
「前言ったと思うけど。あの出来事の内容は内緒な。」
「ああ、はい…」
そして予想通り、2人も来た。
「喜多川、そんな女に手を出しちゃかんだろ。あの男の人にもくっつきゃあええがね。」
「もう少し、女性との接し方を考えてみてくださいよ。」
片目眼帯オールバックのどこのなまりか分からない女性と、真面目そうな男性がやってきた。チャラ男の耳を引っ張って係員のもとへ行った。
「桃内ちゃん、この人たちと知り合い?」
「ええと、なんといえばいいのか…」
どうやって説明しよう…。鞄のことをどこまで説明していいのか。

「君たちが駆除するのか!?危険すぎる!」
係員も驚いていた。さっきまで敬語だったのに。
「アライグマは体内に寄生虫が多く…」
「そのことは知っています。確かアライグマは音で追い払うことができるので、それを利用します。」
係員は首をかしげていた。3人は狭い道に入っていった。
本当に大丈夫なのか。

 

たぶん続く

 

 

あとがき

少し遅れました( ゚Д゚)どうも百合染野(ゆりぞめや)です。

本当は前回と今回を合わせて1話にしたかったのですが、文字数が完璧にオーバー。

しかも、まだ続きがある。( ゚Д゚)

これどう収拾つけるのか自分でも困っています。

次回でハンカチ探しを終わらせます。

 

感想、ご指摘があればコメントにどうぞ。

異能力の使い方 ー2話 天才と魔女(?)-

いつの間にかもう6月。私は急いでいる時も近道を通ることをやめ、ひと気の多い道を使うことにした。そのおかげなのか、同じ道を通る同じクラスメイトと仲良くなった。そう、ぼっち脱却だ!

 

そういえば、名前をいってなかった。私の名前は桃内真友(ももうちまゆ)。御陵市(みささぎ)にある公立、御陵高等学校1年生。前から話しているように不幸がよく訪れる疫病神的な人間だ。自分で言うのも何だけど…。

 

さっきの同じクラスメイトとはもちろん教室で仲良くなった。話しかけたのはその子からだ。黒髪のツインテールでメガネをかけている。
ある日の放課後。
「ねえ。桃内ちゃんっていつもあのコロッケ屋の道歩いているよね?」
「え?ああ。うんそうだね。」
「やっぱそうだよね。あのマフラーみたいな髪の巻き方やスタイルの良さは、学校内では桃内ちゃんしかいないって思っていたよ。」
その子から知った話だが、私は1年生美少女ランキングでは上位に入っていたらしい。正直、自分ではそんなこと思ったことないし、スタイルなんて普通だと思っていた。そういえば、入学当初に飽満とか言われていたな。最初悪口だと思っていた。そのため美少女扱いされていた。しかし、髪の毛が独特で後ろ髪の一部をマフラーのように巻いていることと、話しかけられてもあまり反応しないことがあり、1年生不思議ちゃんランキングでも上位だったらしい。その話も彼女から聞いた。

 

「ってことは桃内ちゃんって魔女?」
「誰が魔女よ!」
魔法少女とかにならないの?」
「ならないって!」
どこの漫画の世界なんだか…。
「そういえば名前聞いてなかったけど、あなた誰でした?」
「そんなかしこまらなくても。ていうか、まだクラス全員の名前覚えてないの?」
恥ずかしながら、全然覚えていない。ちゃんと覚えているのは、私と中学校が同じの生徒ぐらいしか覚えていない。3人。それも3人とも男子のため普段話をしていていない。入学式にいろんな女子と話せばよかった。今になって後悔している。だけど、今話しかけられるのが自分の中でかなりうれしい。
「私の名前は伊達家妻(だてかずま)よ。」
「伊達家妻!?」
「やっぱ、女っぽくない名前って思っているよね…。入学当初クラス全員が驚いていたよ。」
名前には聞き覚え、というか見覚えがあった。
記憶が正しければ、確か職員室前の掲示板に貼られていた中間テストの結果で1位になっていた子だ。ちなみに私は中の下ぐらいだ。そんな天才的で男っぽい名前の子と今話しているのだ。私は一時的に脳が凍っていた。
「それでなんだけど、今から一緒に帰らない?通っている道は私と一緒みたいだし、ほかに一緒に帰る人がいないから。お願い。」
「…別にいいけど、私なんかでいいの?たぶん釣り合わないよ。どんなことでも私のほうが劣勢だと思うし…」
「そんな自分をでくのぼう扱いしなくてもいいのに…。やっぱ一人で帰るのが怖いからね。ここ最近事故が多発しているみたいだし。」
「そっそうだよね」
私も伊達ちゃん、どちらも帰宅部だった。ほかにも数人帰宅部がいるのだが、変える方向が逆だったり、HR(ホームルーム)が終わって1分もしないうちに教室から出ていく生徒が多かった。そして、その話しかけられた日から2人で一緒に帰ることになった。

 

一緒に帰るのにも慣れてきたある日の帰り道。今日も他愛もない会話をしながら帰っていた。
「そういえば、桃内ちゃんの家ってどこら辺にあるの?」
「うーん。土桜(つちざくら)市民図書館の近く…かな」
「え!?土桜市って隣町だよね!?そんな遠くから歩いて登下校するの!?足痛くならない!?ていうか何で自転車使わないの!?」
「私…自転車乗れなくて…」
やっぱ高校生になって自転車が乗れないのは大問題だよね。乗れるように努力はしているものの全く前に進めない。というかバランスを保つのもままならない。そのため自転車は倉庫の中に入れて、片道徒歩1時間かけて登下校している。残念なことに家の近くにバス停がない。あったらどれだけ楽になることやら。
「ほほぅ。自転車が使えないとはさすが魔女。代わりに空飛ぶ箒を使っているのね」
「そんなファンタジーみたいなこと、現実であるわけないでしょ!」
そう言いつつも先月のひったくり事件のことを思い出していた。水になったバイク、何も使わずに遠距離会話、謎の四面体(キューブ)…う、頭が…。


「そうだよね。本当にあったらみんな空をビュンビュン飛んでいて、飛行機とかヘリコプターとか、自動車や自転車がいらないもんね。」
「だよね。でも、もし空飛ぶ箒があったら使いたいな。登下校がとても楽になるだろうなあ。」
「でも、長時間歩いているからこその、その美脚なんでしょ?流石―。」

魔女というワードが入ってないにしろ、その言い方的に魔女扱いだろう。どうすれば魔女扱いされなくなるだろう。じゃあ逆に、魔女のように魔法を使えたらいいのかな。空飛ぶ魔法を使えたりすればいいのかな。そうすれば問題も吹っ切れそうだった。

 

「そうだ。また、あのコロッケ屋に行かない?」
「うん。いいよ。」
あのコロッケ屋のコロッケは本当に安くておいしくて早い。どこかの牛丼屋みたいなアピールだが実際そんな感じのコロッケ屋だ。その証拠に2年に1度ぐらいの頻度でテレビに映るのだ。雑誌なら3か月に1回レベルだ。芸能人のサインが店の中に10枚ぐらいある。そんな味に保証付きのコロッケ屋が高校から15分、しかも通り道にあるなんて、不幸ばかりの私には神様からの幸せのプレゼントだ。ちなみにコロッケ屋の近くに伊達ちゃんの家がある。普通の一戸建ての家より一回り大きい。

 

今日買ったコロッケは普通のコロッケ2つ。合計で200円。しかし、学生割引によって150円。伊達ちゃんも同じのを買った。そしてこれを立ち食いするのが御陵高校生徒の放課後光景だ。1個目を食べ終え2個目を食べようとしたとき、コロッケ屋に小学1年か2年ぐらいのかわいい身長の女の子が訪れた。コロッケ屋のおじさんと何か話している。私は額に涙が流れているのに気が付いた。いったい何があったのだろう。
そう思っていたら、もう伊達ちゃんが動いていた。流石天才。関係ないけど。
「どうしたの、そんなに泣いていて。」
「…ハンカチ…。無くしちゃった…。フィアーネスの…」
フィアーネスとはこの春から始まったアニメに出てくる猫の妖精の名前だ。街中でもたまに見たことがあるキャラクターだ。
「うーん。最後にフィアーネスのハンカチを使った場所は覚えている?」
「…えっと。…帰り道で熱かったからハンカチで拭いた…。だけど…どこらへんで使ったのか…覚えてない…」

そういってその場で泣き崩れた少女だった。どうしよう。助けたいけど、場所が分からなければどうしようもない。それに、あと2時間後にスーパーのバイトがある。でも、この状況で帰りますって言いづらい。


「お嬢ちゃんたち、ごめんだけど代わりに探してくれないか?俺はこのコロッケ屋から出ることはできないからね。たぶんその帽子を見る限り御陵小学校の児童だろう。となると帰り道はそこから東だろう。」
そう聞いた伊達ちゃんはコロッケ屋のおじさんに向かって微笑んだ。
「大丈夫です。私、御陵小学校の卒業生ですから、帰り道はわかります。桃内ちゃんも手伝って。」
そういわれたら断れないタチだった。断る力が必要だと思った。私もハンカチ探しをすることになった。


でも、普通のハンカチ探しではなかった。そんなの、誰も思っていなかった。

 

 

たぶん続く。

 

 

あとがき

どうしよう。うごメモの仲の友達が全員いなくなっている…( ゚Д゚)。

どうも、国語力皆無の人間、百合染野です( ゚Д゚)。

まあうごメモDSi版やっていたのが中学2、3年生でプロフィール変えるために登録している人ばかりだからな( ゚Д゚)。だから終了したときにみんなはてなから衰退しちゃったんだよね( ゚Д゚)。だからかな、初回にして閲覧した人がいなかったのは…( ゚Д゚)

出来れば、みんな戻ってきてほしいな( ゚Д゚)。

変なあとがきになりましたが、よろしければ感想、ご指摘お願いします。

異能力の使い方 ー1話 不幸中の幸いー

この小説はフィクションです

 

「君はこの村を救える勇者だ!」
といきなり言われたら誰でもピンとこないだろう。
まず、勇者の定義とは一体何なのか。
特殊な力を持っているからなのか、見た目が強そうだからなのか。脳の作りが特別なのか。

私は疑問でいっぱいだった。。
第一の問題で私は男ではない。女子高生だ。空手や柔道・剣道とかもやったことがない女子高生だ。そんな私が勇者になる権利があるのか。

それに、私が住んでいるのは村ではなく町だ。約8万人が住んでいる田舎なのかの判別が難しい人口だ。
そして最大の疑問はこの世界にはモンスターも悪魔も宇宙人もいない。
いるのは悪いことを考える人ぐらいだ。
この3年間の高校生活は常識が覆される日々だった。え?なんでそう感じるかって?まず、私が不思議な能力に目覚めたことだ。それによって町にいる悪人と戦う(?)きっかけになったのだ。この世界は不条理で醜いものだと知った3年だった。…たぶん


高校一年生の5月のGW(ゴールデンウィーク)明け。今日もぼっちで登校。ぼっちで昼休憩。ぼっちでトイレ、…は言わなくてよかったかな。
私は好きでぼっちになっている訳じゃない。他人からはただの言い訳に聞こえるだろうが…。
私は高校生活を楽しむ気持ちを上回るものがあった。それは不運の連鎖によって生み出されたこの世界の孤独感と恐怖感だ。

入学式・始業式があった週の日曜日。私の平和は消されてしまった。
家族で遊園地に行ったとき。私の家族構成は、父・母・中学1年生の弟、そして私。遊園地は私と弟がはしゃいで遊んだ。両親もその様子を見て喜んでいた。幸せだった。
その帰り道。車の中で私と弟は寝ていた。目が覚めた時からが地獄だった。衝突事故に会ったのだ。…生きていたのは私だけだった。
私の祖父母は、私が生まれたときにはもう他界していたため私は一戸建ての家に留まった。

 

そこから悪夢が始まった。

 

1週間後、ストーカーにつけられた。
そのまた1週間後、空き巣にやられた。金庫を盗まれた。空き巣狙いは私をつけていたストーカーだった。金庫は戻ってきたがその中にあったお金は殆どなくなっていた。親の通帳は「0」と記されているだけだった。

その後も週一回のペースで災いがふりかかった。それがなぜか私にとって楽しみになっていたのかもしれない。いや、なっちゃだめだけど。

 

今日もぼっちで下校。下駄箱から靴を出して外を見た。
…豪雨だ。きいてないぞ。
梅雨でも台風でもないのに。5月ってこんなに雨が降る月だったのかと疑問を抱きながら傘なしで歩いていた。
途中、最近見つけた近道を使った。電灯やひと気がない代わりに時間短縮できる。早く家に帰りたい気持ちが大きかった。
近道を歩いていると後方から轟音、ではなく爆音が聞こえた。バイクの音だ。
この近道にバイクが通るのは珍しい光景だ。しかもこんな豪雨の中で…と思っていたその時!
バイクが私の横を通り過ぎようとした瞬間に搭乗者が私の学生鞄をひったくった。
私はすぐさま大声で誰かに助けを呼んだ。しかし、誰も反応しない。それどころか近くに誰もいない。この近道の特徴であるひと気がないのが仇となった。第二の手段として携帯で…あれ?あ、そうだった。あの鞄の中に入れていたことを思い出した。
今週の不幸はひったくりか…。

 

ひったくられて5分が過ぎた。私はもう歩く気力がなくなり、その場で仁王立ちしていた。
悟っていた。私がこの世の中に生まれてよかったのか、生きる意味は何なのか。自然主義を科学的にない病気にでもなっているのか。自然主義を信じたい気持ちだった。

「おーい、君!」
後ろから男性の大声が聞こえた。振り返ると確かに男性だ。少しチャラそうだった。髪色が茶色だし…。そのチャラそうな男性が私に近づいてきた。
「こんな暗い道にJK(女子高生)一人で歩くなんて危険だろう。しかも傘差さずに。私のスケスケ性服(制服)を見てくださいと言わんばかりじゃないか。この道は暗いときは変な奴のたまり場になっているから、狙われるぞ。」
そのJKに対して躊躇せずにセクハラ発言とは危険な人だな…。知らないふりして帰ろうかな。
「すまんな、説教みたいになって。折り畳み傘貸してやるよ。使いな。」
…え?少し動揺した。
「…いや、別にいいです」
「風邪ひいちまうからさっさと使え。またはそのいやらしく状態の身体を町の人たちに見てもらうプレイが好きなのか?」
優しいのかセクハラしたいのかどっちなのか。と思っていながらも彼か折り畳み傘を借りた。
「そうだ、もう少しで鞄が戻ってくるから。」
「…え?今…なんて…?」
「だから、君のもとに鞄が戻ってくるから」
いや、待て待て。なんで鞄を盗られたことを知っているの?それに鞄が戻ってくる?
私は彼の理解不能な情報によって混乱していた。だが、それだけじゃなかった。
「高津・沖波、今、ひったくり被害にあったJKを見つけた。バイク野郎は今、田中不動産を西に通過。およそ時速62キロ。え?およそはいらない?」
誰かと会話しているようだった。
でも、おかしなことに彼の手には傘しか持っておらず、携帯電話を使っているようには見えない。トランシーバーを使っているようにも見えないし、オペレーターが使うマイクも使っていない。会話するための媒体を持っていないのにどうやって会話しているのか。
それに、その話の内容もおかしい。何故バイクの位置と速度を把握しているのか。
「とりあえず、この道から出よう。仲間と合流する」
私は彼と一緒に道を出ることにした。
何故か私は不安が減っていた。

 

彼と危険な近道を出た。
彼は、彼の仲間と合流する集合場所に行く間に私と話しつつ、時折仲間と会話していた。先ほどの疑問を抱きつつも結局は聞かなかった。ただ、一つ聞きたいことは聞いた。
「あなたは警察ですか?」
会ってからずっと思っていたことだ。
「警察じゃないよ。単に困っている人がいたら助けているだけだよ」
「ボランティア…ですか?」
「そんな感じかな。それに、仮に警察だったらタメ口で話さないだろう?…うん?どうした高津。…そろそろ来る?了解」
…来る?
数秒後、聞き覚えのある爆音が聞こえた。ひったくりをしたバイク男がこちらに向かって来る。
本当に来た。
バイクはよれよれの走行で、ただ乗っているだけのはずの搭乗者が疲れ果てていた。
が、それでもバイクで逃げている。
それともう一つ気になるものが見えていた。
都会のビルに負けないぐらいの高さの純白でできた塔。あれって今まであった…かな?
と、疑問を持っていたその時、バイク男がこちらに突っ込もうとして来ていた。
「邪魔だ!どきやがれ!」
「君、下がっていて」
「下がっていてって、下がってもどうしようもないんじゃ…」
「いいから!下がれっつってんだよ!俺が止めるから!」
本当にこの人は何を言っているのか。止めるってどうやって。
バイクのスピードは緩まない。そのまま私たちに向かっている。その距離、大体10メートル。
それでもまだ緩めない。
私は目を瞑った。こんなの現実じゃないはず。
「うわぁー!!」
男の悲鳴が聞こえた。バイクの爆音が消えていた。男がバイクから落とされたような音がした。
目を開けた。搭乗者が道路に横たわっていた。
ただ、一つ見えなかったものがあった。
バイクがどこにも見当たらない。
その代わりなのか、水が雨とは思えないほど道路にたまっていた。
「な、何なんだよ!さっきから!逃げようと思った道に壁が現れで邪魔してきたり!どう逃げても壁に当たるし!挙句の果てにバイクがいきなり水になったり!」
水になる!?それが本当ならこの道路に水が溜まっているのが理解できる。でもそんなことって在り得るのか!?
「あぶねえがねぇ。こんなところでそんなスピード出すなんてぇ」
電柱の陰から聞いたことのないなまりで話している女性が出てきた。しかも、ショートヘアーでオールバック。さらには右目を包帯で覆っている。またおかしな人が来た。
「沖波、なんでそこで隠れていたんだよ」
「いい感じに待ち伏せ成功。なおかつ良いとこ取りだわ!悪く思わんでよ、喜多川。」
(わ)のイントネーションがおかしい…少し低い…一般女性が使う(わ)のイントネーションじゃない。
しかし、彼の仲間ということが分かった。悪い人じゃない。
「ふざけんなよ!いい感じにセリフが決まったのに!」
「まあ、ええがな。こいつを捕まえたことだし…」
そういいながら二人がバイク男を穏やかならぬ目つきで見ていた。
さっきまでの優しい雰囲気が消えていた。


「てめえなんでこいつの鞄パチったんだ?あん!?」
「おめぇを捕まえることはしねぇが、鞄を返さないとおめぇのバイクも返さんからなぁ。はよ返しゃあええ話だ。分かる?分かるよなあ?」
私と話している時とは180度違っていた。
「わかった、返す!鞄返すからバイク返して!」
「そうか。なら先に鞄を彼女に返しな。」
バイク男は私に鞄を返した。
本当に帰ってきた。
「確かに返した。だからバイクを返してくれよ!」
「わかったわかった。ちょう待ち」
なまりがおかしい女性がそういった後、道路の水を見つめていた。
すると、水がみるみるとバイクの形になってゆく。
「なにこれ、本当に現実?」
口に出してしまうほどだった
約10秒でバイクは液体から固体に戻った。
バイク男は怯えながらエンジンをかけて、その場を去った。

 

「ありがとうございます。助かりました」
「いいってことよ。」
「大したことじゃないから気にせんでええよ」
この二人、何か変なところがあるけどいい人で良かった。
…あれ、でもこのチャラそうな男が会話していたのってこのなまりが変な女性ともう一人いたような。
「陰で統括や追尾していたのにもかかわらず、僕には利益や御恩は無しですか…。」
もう一人の仲間らしき人が現れた。
この人も何かおかしい。白髪(はくはつ)で右耳に長いイヤリングをつけている。
「わりい。問題解決したからつい。」
「そういうつもりじゃなかったから、許してちょ」
「まあいいや。とりあえず一件落着だな」
なんか、この3人のなかで一番まともな気がする人だった。見た目は全員アレな気もするが。
「あの、陰で統括って…何のことですか。」
「うーん…いったほうがいいのかな?」
「高津、こいつ沖波のやつ見ていたから、別にいいんじゃないか」
「なら、いいか。」
そういいながら右手を前に出した。すると、手から何やら1センチぐらいの白い四面体が次から次と出て空中に舞っている。
見覚えがある白色だった。
「この四面体(キューブ)を使って塔を作って、そこから見下ろしてバイクの場所をこいつらに教えていたんだ。」
だから不自然な高層ビルがあったのか。再びその塔を見ようとしたら、もうそこには塔はなかった。

気が付けば雨もなくなっていた。心も少しばかりか晴れていた。
「ありがとうございます。鞄を取り戻してくれて。なんとお礼したらいいのか…」
「だから気にせんでええよ。」
「早く家に帰って下着替えなよ。濡れ濡れだから」
このセクハラ発言している男性だけ、前言撤回だなぁ。傘貸してくれたのはうれしかったけど…
「そうだ、今日のことだけど」
真面目そうな人が私に話しかけた。
「今日ここで起こったことは誰にも言わないでくれ」
「…はい」
ありきたりのセリフではあるが、ごもっともだ。ほかの人に伝えたって信じてもらえないことだろう。てか、話す相手がいないけどね。

 

 

たぶん続く

 

 

あとがき的なもの

初めまして、百合染野(ゆりぞめや)です。

大学1年生です。理系です。国語が大嫌いです。文章苦手です。

と、言いつつも実は小説書こうと思っていたのは高校1年生の時からです。

ただ、部活が多忙だったため書く暇がなくて断念。そもそも話の構成を全く考えてなかったのです。

そんな高校生活をしつつも話を考えていた3年間。そして今。書こうと思いました。

 

先ほども申したように国語が大嫌いです。漢字とか、日本語の間違いがありましたらご指摘をお願いします。あとご感想も(合ってるはずだよね。この日本語)