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百合染野図書館

小説(?)を書いています 異能力の使い方

異能力の使い方 ー5話  気休め-

『御陵市に動物殺しの特殊能力少女が出た』
という噂が御陵市に広まっている…らしい。


その噂を伊達ちゃんが、終業式が終わった後の放課後に私に話してきた。
「この噂を翻訳するに、桃内真友というニックネーム『御陵高校の魔女』が謎の力によってアライグマを気絶させたってことだよね」
ちょっと待って、一部情報に誤りがあるよ。そのニックネームいつ決められた…。御陵高校の魔女と言われてもちっともうれしくないのだが。
それはともかく、この噂はどこから発信されたのか。あの時は、私と伊達ちゃんとハンカチを無くした小学生の3人しかいなかった。たぶんあの小学生が噂をまき散らしたんだな。
だとしたらなぜここまで広がったのか。
「魔女が出た」
という噂を小学生が流したとしても、何故街中に広がっているのか。不思議だ。


「魔女なんている訳ないでしょ」
「誰だよこんな噂流したやつ」
「知らねえよ、どっかのネットの噂かもよ」
「でも、本当にいたら見てみたいな」
「馬鹿、この噂が本当だったらお前殺されるぞ」
案の定、うちの高校でこの噂を信じる者は殆どいなかった。
その噂の特殊能力少女がここにいるというのに。でも、それを言ったところで信じる訳ないでしょ。


その一方で、大人の一部は信じていた。


1ケース
アライグマの出来事があった次の日。私と伊達ちゃんはコロッケ屋に訪れた。
「お嬢ちゃんたち、この前は助かったよ。あの子のハンカチを探すのを手伝ってもらって。サービスでもう1個プレゼントだよ」
「ありがとうございます」
私たちはコロッケ屋のおじさんからコロッケをもらい、早速口の中に入れた。
「でも、この町も物騒になったものだ。アライグマが大量発生するわ、それを殺す化け物の少女も現れるわ。お嬢ちゃんたちも気をつけなよ。何でも、その少女はどんなものでも吹き飛ばすらしいからな。俺達じゃどうしようもない」
私たちは目を合わせた。たぶん、あの出来事のことだ。サービスしてもらったコロッケが食べづらくなった。

 

2ケース
スーパーのバイトの休憩時間に40代ぐらいのパートさんと話すことがあった。
いつもなら、
「女子高校生が1人で生活って大丈夫かい」
とかの相談や
「うちの息子がね…」
など、他愛もない話なのだが、この噂が広まったときは、
「御陵市にアライグマを殺した女子高校生が出たらしいよ。確か桃内ちゃんは御陵高校だったよね?気をつけなよ。もし会ったらすぐさま逃げなよ。もしかしたらその子はヤクザかもしれないからね」
と真剣な眼差しで話していた。一体なんで。何故ヤクザという単語が出てくるのか。

 

3ケース
街で警察と出くわすことが多くなった。
それは御陵市に限らず、私が住んでいる土桜市や、その隣の唐嵜市にも。
まるで、私が御尋ね者扱いされている気がして嫌な気分だった。

 

この3ケースによって、私と伊達ちゃんの疑問が膨らんでいた。
あの力は危険なものなのか。
あの時、あの力が目覚めなければ、アライグマに襲われて、私たちは生命の危機に瀕していただろう。
しかし、その力はこの社会にとって邪魔なものなのか不幸なものなのか。
「あれから、この町は変わったね。嫌な意味で」
「そうだね。私って悪いことしたのかな」
「していないよ…私とあの小学生を助けてくれた。それは事実であり良い行動だよ」
「う、うん。そうだよね」
何となく、疎外感を感じた。私は普通じゃない。危険な力を持っている。ほかの人は持っていないこの力を。また、ぼっちになった気がした。
いつも友人として一緒にいる伊達ちゃんのことが申し訳ない気がした。でも、伊達ちゃんは噂を気にせず私に接してくれる。優しいな。
「そうだ、明日から夏休みだよね?どこかに遊びに行かない?」
「うーん。どうしよう。周りの人の目線が怖い気がして」
「誰も、『動物殺しの特殊能力少女』が桃内ちゃんって知られていないから大丈夫だよ。そうだ、そのことをなかったことにするためにプールに行こう!」
たぶん、水に流すという意味でプールなのだろう。その案は賛成だった。
「あー。でも、私、去年の水着はもう着られないかも?小さいと思うし」
「そうかあ。私、名前と同じように体も男性みたいで、全然女性っぽさ無いんだよね…。だからここ数年は水着変えてない…」
自分で誘っておいて何故落ち込んでしまうんだろう。とりあえずそのコンプレックスもプールの水で流すべきじゃないか?
「でも、プール行きたい気持ちもある!よし!プール行く前日に、一緒にショッピングセンターで水着を買いに行こう!」
「待って!私そんなにお金残ってない!」
家に1人で生活しているため、バイトの給料と残ったわずかなお金で何とか生活している。そのため色々と節約をして、お金を浮かせている。しかしまだ、水着を買うようなお金ほどは溜まっていない。伊達ちゃんはそのことを知っているのだが、まさかここまでお金がないことに追い込まれていることは知らなかっただろう。伊達ちゃんは難しい顔をしていた。
「困ったなぁ。流石に学校以外でスク水はおかしいだろうし…」
「そうだよね…ごめん…」
「いいよ。気にしなくて」
「あっ、そうだ!いっそのこと私もスク水にすればいいんだ!」
それ解決案としていいのか!?まあ、そうすればお金が浮くことは確かではある。
が、市民プールに高校生がスク水で泳ぐというのも絵にならない気がする。そのことを知った上でその案を出す伊達ちゃんもすごい。恥じらいという言葉を知っていてその行動に出るとは…。
「これなら解決だね。1人だったら恥ずかしいけど2人ならなんとかなるよ」
これで水着を買う心配はなくなった。あと問題なのは、
「それよりも私プールで泳ぐの…」
「苦手なんでしょ。そのこともわかっているから、私の家から浮き輪を持ってくるから大丈夫だよ」
「…ありがとう」
そう、私って極度の運動音痴である。この年になってクロールが10メートルも泳げない。体育の先生からは真剣にやれと言われるが、私なりに真剣にやっている。どうやってみんな泳いでいるのだろう?

 

そしてプールの約束の日。
私と伊達ちゃんは朝早くから現地集合した。近くにある土桜市民プールだ。入場料は300円となかなか安く、広さもここら辺にあるプールの中では1番大きい。
そのこともあってなのか、プール施設が開くのを待っていたお客さんは多かった。私たちがここに着いたときにはもう長蛇の列になっていた。その殆どは学生ばかりだ。これなら高校生がスク水だとしても中学生だと思われれば問題はないだろうな。なんか心が軽くなった気がした。
ただ、100%心が軽くなったわけじゃない。問題として、この列に警察が数人いることだ。もしかしたら噂によって色んなところにいるかもしれない。
そのことを察したのか伊達ちゃんが、心配しないでとにかくプールを楽しもうと耳打ちした。そうだよね、気にしなければ何もないはずだよね。

入場料を払い、更衣室で着替え、早速プールに入った。入場者の一部は案の定スク水の女子が何人かいた。ちょっとだけど安心した。
私は伊達ちゃんから浮き輪を借りてプールに入った。それを支えるように私の近くにいる伊達ちゃん。保護者みたいだった。なんか安心した。
「いやぁ、夏はやっぱプールだね。いつもの暑さを忘れられるよ」
でも、たまに男の視線が気になる。私を見ているのだろうか。
自分で言うのも何だけど、私はスタイルがいいほうだと思っている。
特別努力をしているわけではないが、よく漫画にいるようなナイスバディな体だ。
事実、体育のプールの授業の際、毎回女子からも色々と体を触られた。
また、去年海に行った際にナンパされそうになった。

「流石だね、桃内真友という女子高生は。ここにいる男たちをその身体で媚びるとは。今日は彼氏つくり放題だね。中学生が多いから年下ゲットするなら今日が絶好のチャンスだ」
私が逆ナンパしている人みたいに言わないでよ。恥ずかしいよ。
「でも、不思議だね。そんなにスタイルがよくて注目を浴びるなら、もうとっくに彼氏がいると思うのに」
「うーん。私の人生の中でまだ告白された時がないなあ」
「いやぁ。うちの高校では桃内ちゃんに告白する勇気を持っている男子はいないと思うよ」
以前に聞いたな。確か、私ってクラス内では美人かつ変人扱いされていたはず。変人要素がなければいいのかな。よし、2学期の目標は脱変人だ。別に恋人目当てじゃなく、友達を作るためにね。
「そういう伊達ちゃんも告白されないのは疑問だよ。頭良いし」
「私の場合、桃内ちゃんのような体つきじゃないから…。どうせ絶壁だし…勉強ができても、男子ってスタイルで選ぶことが多いらしいし…私には彼氏はできないよ…」
すみません。なんかすみません。悪気はないです。
見た目は私が大人っぽく、知識は伊達ちゃんが上だ。どっちが保護者なのか分からないような気がした。
「もう、私の事揶揄うならこうしてやる!」
バシャーン!
伊達ちゃんは私に思いっきりプールの水をかけた。
「もう、伊達ちゃんだって私のことを揶揄って!」
バシャーン!
私は伊達ちゃんにプールの水をかけるのをやり返した。
「プールで泳げる私のほうが有利!」
バシャ!バシャーン!
先ほどよりも勢いを増して水をかけてきた。
「そんなの水のかけあいには関係ないでしょ!」
バシャ!バシャーン!
私もそれよりも強い勢いで水をかけた。
バシャバシャーン!バシャバシャ!バシャ!バシャーン!バシャバシャーンバシャ!

高校生と言ってもまだ子供っぽさはあるもんだね。スク水で正解だったかも。

 

午後3時。プールで遊び終え、自動販売機がある休憩場に移動した。私も伊達ちゃんももうくたくただ。水のかけあいって本気になったら高校の体育以上に体力を消費するとは思わなかった。
私たちは普段あまり飲まないスポーツドリンクを買って近くのベンチに座った。もう喉が悲鳴を上げていて今すぐ水分を与えないといけない気持ちでいっぱいだった。運動音痴の私がスポーツドリンクを欲しているとは自分でも信じられなかった。
「ふう。楽しかったね。…どう?すっきりした?」
「うん、おかげさまで…心の中にあるもやもやは吹き飛んだよ。その代わり、体に疲労が…」
「まあ、プールだもんね」
私たちは先ほど買ったスポーツドリンクを1分もかけずに飲み干した。自動販売機の中で冷やされていたこともありすごく癒される。水分補給だけで体内に溜まっていたプールの疲れも飛び去って行った。
「さて、昼ごはんどうしようか?」
そういえば、もう3時だ。お腹すいていた気持ちもいつの間にか水に流されていたかも。
「できれば涼まれるところがいいなあ」
「それなら、近くのコンビニでいいかな?休憩スペースがあるし。それにお金あまりかけたくないでしょ?」
「うん、そこでいいよ」

コンビニまでは大体200メートル。ここの休憩場からでも見えるぐらいの近さだ。あそこまでだったらいけるかも。たぶん。
私たちはベンチから立ち、歩き始めた。
50メートル先公園があった。4人の小学生ぐらいの子がサッカーしている。木陰ではその子たちの母親と思われる2人がいた。この猛暑の中なのにそんな激しい運動するのは私には無理だ。
「小学生ってすごいね。プールの後でサッカーやるなんて」
「え?なんでプール行っていたことわかるの?」
「あの子たち、髪が濡れているでしょ。あとお母さんたちが荷物持っているところから。あの荷物は多分水着だろうね」
流石伊達ちゃん。すごい観察力だ。いつも驚かされる。
「お姉ちゃん、危ない!」
1人の男の子が叫んだ。声の発生源のほうを向くとサッカーボールが飛んできていることに気が付いた。軌道からしてたぶん顔に当たると思う。私は目を瞑り、手で顔を守った。

数秒後。ボールに当たった感触や音はしなかった。目を再び開けると、足元でボールが転がっていた。木陰にいた母親2人も驚いた。
「魔女だ!本当にいた!」
「危ないよ!その2人のお姉さんから離れて!殺されるわよ!」
私はこのとき気づいた。ボールに当たらなかった理由。それはたぶん目を瞑っている間に不思議な力が発動したのだ。この前から目覚めた風の力が…。
「待って!私は魔女じゃない!」
「桃内ちゃん!無駄だよ…そこ見て」
警察の1人が近づいてきた。先ほどの出来事を見ていたのだろう。私は人生が終わったと思った。

 

 

あとがき

だらついてきた気がする( ゚Д゚)

どうも、百合染野(ゆりぞめや)です。

最近本を読むのをやめていたからか文章が微妙な気がします。と国語力がない大学生が申しております( ゚Д゚)

そして、もともと土曜に投稿しようと思っていたというのになぜ遅れた( ゚Д゚)

まあ、それはそれとして、次回は異能力の解説回です。

個人的には次回はとても楽しみです。早めに書き終えて投稿したい。

感想、誤植などがあればコメントに

 

 

こちらも頑張って製作しています。

sno621.hatenablog.jp